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セクハラで会社に責任

入社3年目の杉下さんは、先月の異動による新たな職場に早く慣れようと夜おそくまで熱心に仕事をしていました。上司である尾長課長はそんな彼女をほほえましく思っていましたが、ある夜二人だけになった時にわいせつな行為を迫ってしまいました。

しかし、杉下さんが激しく抵抗したために幸いに未遂に終わりました。

「部長、言いにくいのですが、実は昨夜、尾長課長にセクハラをされました。」

「え、それは本当かい?和やかに話もしていてうまく行っていたように思っていたけど。」

「今までも食事に誘われたりしたのですが、仕事だと思って我慢してきました。でも、今回のことはどうしても許せません。厳しく処分していただきたいと思います。」

「いや、処分と言われてもだねえ・・・。本当に一方的だったの?」

「部長、こんなことを私が冗談で言っていると思っていらっしゃるのですか?」

「いや、そんなことは思っていないよ。でも、あの課長がそんなことをするとは・・・。それに、セクハラと言ってもうちの会社にはセクハラに対する懲戒規定がなかったと思うんだけど。」

「それって、どういうことですか?セクハラを受けても何も処罰されないということでしょうか。信じられません。もし、そうなら警察や労働基準監督署に相談してくるしかありません。」

「ちょっと待ってよ、杉下さん。」

結局、杉下さんはこの会社を訴え、会社は慰謝料100万円、弁護士費用20万円を支払うことになりました。
セクシャルハラスメントは一度発生すると、加害者が刑事上、民事上の法的責任を問われるのは当然ですが、使用者や管理者に対しても民事上の不法行為責任が問われる可能性があります。もちろん、従業員の動揺や社外的信用問題にも発展しかねません。
服務規律の中に規定することはもちろん、懲戒規定の中にもしっかり規定し、セクハラが懲戒処分の対象になることもはっきりと明示することが必要です。
セクハラは未然に防ぐことが非常に重要です。

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